日本は“バーチャルウォーター”輸入大国!!?

«
»

日本は世界的にも降水量が多く、
島国でもあり隣接している国も少ないことから、
豊富な水資源を持っています。

事実、アジア圏で最も雨が降る国は新潟県上越市で、
年間で雨が降るのは200日以上と世界でも有数の降雨大国なのです。

しかし日本は、同時に世界で最も水を輸入している国のひとつであることをご存知でしょうか?
この事実には日本の食料自給率が深く関わっています。
要因は、日本の食料自給率の極端な低さ。

「食料自給率」とは、国内の食糧消費が国産でどの程度まかなえているかを示す指標です。
日本はこの食料自給率が40%程度と、他国と比較して極端に低いのです。
つまり、国内の食料の残りの約60%を輸入に頼っているということです。
しかしなぜ、食料自給率が水の輸入量と関係するのでしょうか?
例えば、ある日の夕食に外国産の牛肉のステーキが並んだとしましょう。
肉牛が育つまでにどれだけの過程があるか想像してみると、
飼料を作るのに必要な水+牛の飲み水など、
最終的に食卓に届くまでに大量の水が必要になっていることが考えられます。
つまり食料の輸入は“間接的な水の輸入”と捉えることができます。

この見解に基づいた仮想の水のことを「バーチャルウォーター(仮想水)」と呼びます。
これはアンソニー・アラン氏(ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授)が初めて提唱した概念です。
例えば、1kgのトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800リットルの水が必要です。
また牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、
牛肉1kgを生産するには、その約2万倍もの水が必要なのです。
“日本は食料自給率が低い=食料を輸入に頼っている”という話に戻ると、
このバーチャルウォーターがどれだけ動いているか想像できると思います。

2000年において、海外から日本に輸入されたバーチャルウォーター量は約640億㎥(※1)で、
その大半は食料に起因しています。
これは日本国内で使用されている年間の水使用量と同程度と言えます。
日本は世界一、水を輸入している国ということになり、
海外の水資源に依存していることになります。

海外諸国で問題となっている水不足や水質汚濁問題に対して、
日本も無関係ではいられないのです。
世界で最も水に恵まれていながら、同時に世界で最も水を輸入しているこの矛盾に気づくと、
またひとつ、水に対する見方が変わってきませんか?

 

(※1.東京大学生産技術研究所の2000年食糧需給表統計調べによるデータより)

 

 

ツイート
シェア
«
»