五ツ星お米マイスター片山真一監修
<水ラボ流>おいしい新米の炊き方七箇条

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食欲の秋。水と関わりの深い秋の味覚といえば、「新米」です。

自宅で炊くのを楽しみにしている方は多いでしょう。では、みなさんは、みずみずしい新米の持ち味を引き出せているでしょうか?

そこで、水ラボは五ツ星お米マイスターの片山真一さんに、おいしい炊き方を取材しました。教えてくれたノウハウを基に「五ツ星お米マイスター片山真一監修 <水ラボ流>おいしい新米の炊き方七箇条」を作成。

古米でも生かせる内容なので、ぜひ活用してください。

片山真一さんプロフィールはこちら

 


 

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一、初回の洗米はザルとボウルで1秒

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乾燥した米は、非常に良く水を吸います。新米を水に浸けて放っておくと、しみ出したヌカの成分ごと、内部にどんどん吸収してしまうのです。

そのため、初回の洗米は、たっぷり水を張ったボウルに、米を入れたザルをサッとくぐらせるだけでOK。1秒だけ水に浸けて、表面のホコリや脂を取り除くイメージです。

 

一、新米の扱いはやさしく、やさしく

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洗米は「研ぐ」というより、水で「すすぐ」感覚。2回目以降は、米をボウルに空け、たっぷり水を張って10回かき混ぜる、という作業を3セット行ってください。

やわらかい新米にキズを付けたり、旨みの層まで取ってしまっては意味がありません。白濁した水が半透明になる程度まで洗えば十分です。

 

一、浸漬は120分が無難

洗ったお米は、すぐに炊かず水に浸します。この作業を「浸漬」といいます。

浸漬の時間は、良く30~60分が目安にされますが、少し延ばして90~120分が適当。たっぷり水を吸わせてから炊いたほうが、お米に粘りが出ます。

最新のIH炊飯器なら30分でも良いのですが、長く浸漬する悪影響はあまりありません。120分は水を吸わせるのが無難です。

 

一、炊飯の水を1割減らしてから調整

120分も浸漬すれば、お米はたっぷり水を吸った状態になります。炊飯時は、いつもより水を1割減らしてみましょう。

食べてみて「かたい」と思うかもしれませんが、いつもより甘みや旨みを感じられるはずです。かために炊いて、しっかり噛んで食べたほうが、お米の持ち味が際だつのです。

 

ただし、この方法は上級編。しっかり浸漬する必要がありますし、予想以上のかたさに驚くかもしれません。

肝心なのは、大胆に水を減らし、本来の味に気付くこと。次に、好みに合わせて水を増減し、調整することをお薦めします。

 

一、炊飯は軟水で。Ca少なめMgは多めがベスト

炊飯には、硬度50mg/L以下の軟水を使いましょう。日本の場合、ほとんどの水道水は軟水ですから問題はありません。浄水器を使えば、さらに品質が上がります。

しかし、こだわるなら、軟水の中でもCa(カルシウム)が少なく、旨みの元になるMg(マグネシウム)やK(カリウム)の多い水が合っています。

下は隅田屋商店が販売する贈答用の商品(5400円)。オリジナルのブレンド米と、ミネラルバランスから厳選した天然水がセットになっています。

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初回の洗米と炊飯に使う水は、両方ともよい水を使ってください。水は確実にお米の味を左右しますが、非常に繊細なレベル。お米に触れる最初と最後の水は、どちらもこだわらなければ、味わって分かるほどの違いを出すのは難しいのです。

 

一、「ほぐし」は「うまし」

炊飯器の作業が終了したら、フタを開けて「ほぐし」に移ってください。お米を十字に四等分して、下から上へ返すようにかき回します。

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蒸し上がったお米は、温度を70度以下に下げなければ、色が黄ばんだり、デンプン質が凝固してかたくなる、などの劣化が起こります。ほぐしは、それを避けるための作業で、業界では「ほぐしは旨し」といわれるくらいです。

また、ほぐしによって底にある水分が蒸散することで、お米の表面が水分をまといます。照りのあるしなやかなお米になるのです。

ほぐしが終わったら、炊飯器のフタをしめず、代わりに濡れ布巾をかぶせておきます。できるだけ早くいただきましょう。

 以上


 

いかがでしょうか? 難しいノウハウはひとつもありません。

 

理想は、表面がかためで中がやわらかい「逆アルデンテ」の状態です。弾力がありながら、新米らしいみずみずしさが残ります。

ぜひ7箇条を実践して、最高の炊きあがりを目指しましょう。

 

 

●片山真一プロフィール

株式会社隅田屋商店代表取締役社長。五ツ星お米マイスター。
明治に創業した老舗米穀店の5代目主人として、消費者目線でおいしい米を探求する。年に3回発売するオリジナルブレンド米「吟撰 隅田屋米」は、季節や気候、毎年の作柄を見極め、最高の味を追求した逸品。

隅田屋商店HP:http://sumidaya.jp/

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