幸福な新年を迎えるための水の慣わし

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いよいよ2016年も目前となりました。
日本では新年を気持ち良く迎えるために、
習慣上”水”を重んじ、慎重に向き合おうという嫌いが古くからあります。
そんな日本ならではの新年の”水”にまつわる習慣をいくつかご紹介したいと思います。

まず代表的なものとして
その年の一番初めに良い水を汲もうという
『若水迎え(わかみずむかえ)』の考え方があります(※上部写真)
その年初めて汲む水のことを日本では『若水(わかみず)』と呼び、
若水は一年の邪気を払ってくれる縁起の良い水とされています。
神棚にお供えをしたり、雑煮を煮たり、
お茶をたてるのに使ったりと用途は様々です。

また若水はできるだけ遠方に汲みに行くのが良いという慣わしがあります。
現在では井戸から飲料水を汲むことはほとんどなくなりましたが、
元日の夜明けに名水を汲みに遠くまで足を運ぶ人は今でも多いといいます。
寒くて暗い環境を考えれば、夜明けに名水を汲みに出掛けるのもなかなか大変なこと。
それほど、日常に根付く水の存在を大切にしている日本人ならではの考えなのかもしれません。

またその一方で、新年には水を避けた方がいいという慣わしもあります。

日本人は年末には大掃除をして鐘をつくことで煩悩を断ち、
年明けにはすっきりとした心持で初詣をして神様に一年の祈願をかけることで
新年の準備を行ってきました。

しかし、現代ではその慣習が変わってしまっていることも多く
かえって水の作用によって神様の恩恵を受けられなくなる誤った
習慣付けをする家も決して少なくはありません。

例えば
元旦に水回り(台所・トイレ・お風呂・洗濯機など)の掃除をしてしまうと、
幸運を水で洗い流すことになり、大変縁起が悪いと言われています。
これは何も水回りだけではなく
元旦の掃除そのものが、せっかく来た幸福を払いのけ・神様も追い払う事になってしまうため、
大変ふさわしくない行いだとされています。

また『入浴』も、本来であれば新年に行ってはいけないことです。
せっかく初詣をして、神様から身体に受けた良い”気”を全て
洗い流してしまうことになるからです。
だからこそ年末に大掃除・大晦日にお風呂に入り、
新年までには神様からの幸福を受けられるような状態に、
自分を整えておく必要があるのです。

基本は一年の汚れを落として、きれいな心身で新年を迎えること。
『福は元旦に舞い込む』ことを意識していた日本人ならではの水にまつわる習慣は、
今でも確実に生きています。

2016年はみなさんにとってどんな年になるでしょうか?
年末年始実家に帰省したときにでも、水に関して習慣上意識していることがないか、
身内に聞いてみるのも面白いかもしれません。

 

 

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